二分法思考による認知の歪み

前回:6年前に作った図「神経症の二分法思考回路」
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の続きです。

6年前、最初は思いつきで作った図でしたが、いろんな本を読むうちに多くの精神科医や心理学者が、意外に僕と同じことを考えているということに気付き、何よりも先行研究があってよかったと思います。
精神科医・香山リカ氏の著書の中でもこのことに少し触れてありました。
(転載始め)
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最近「私は~病です」と自分で言う人が多い。特に「私は自閉症です」という人が多い。
(中略)
よく「私は自閉症です」と言うのはむしろ自己愛的な特権意識や、ボーダーラインの人たちが示しがちな”「良い/悪い」に二極化された感情や対人関係の不安定さ”に基づくものでる。
もっと昔の精神科医なら「自閉症という特別な存在になって人に注目してもらいたい」という願望を指して「ヒステリー性格」と呼んだかもしれない。
「わたしは自閉症」と宣言することで自分を主人公とした大きな作りたいと望んでいる。
このようなあり方は自己愛性人格に近い。
「自己愛性人格障害の基本的特徴は誇大性・賞賛への要求・共感欠如である。自己の重要性についての誇大感はしばしば高慢で見栄っ張りに見える態度を導く。彼らは他者から賞賛されることを当然と思っており、逆に他者の貢献をしばしば過小評価し価値を切り下げする。」
「彼らの自己評価はほとんど例外なく脆弱であり他者によくみられらることにこだわり持続的な注目と賞賛を求める。また彼らは他者の願望と主観的体験と感情を認知することが困難で自分だけの関心事について不適当に長々と話す傾向がある」
近藤三男「自己愛性人格障害の発症機制」「精神科治療学」1995年11月号(星和書店)
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(転載終わり)
「インターネットマザー」香山リカ 著
前回の日記(6年前の当時の考え)では、神経症と書きましたが、厳密には”神経症と精神病の境界”である「境界性人格障害(ボーダー)」に近いです。
もしくは「自己愛性人格障害」にも似通っています。
境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)は、物事を両極端に偏って認知してしまう『二分法思考』を持ち合わせています。
この起源は、対象関係論のメラニー・クラインが提起した乳幼児期の『分裂(splitting:スプリッティング)』の原始的防衛機制にあります。
メラニー・クラインが早期発達の母子関係の中で用いられるとした『分裂(splitting:スプリッティング)』の防衛機制とは、母親という『全体対象(統合された人格)』を認識できない乳児が、母親を『良い乳房』と『悪い乳房』という部分対象に分裂させて認知するというものです。
自分が空腹を覚えた時にミルクを与えてくれて、寂しさを感じた時に温かさを与えてくれる母親の乳房は『良い乳房』として認知され、
逆に、自分が空腹を覚えていてもミルクを与えてくれず、寂しい時にも温かみを感じさせてくれない母親の乳房は『悪い乳房』として認知されます。
『分裂』の防衛機制によって、良い部分も悪い部分も併せ持った母親という『全体対象(統合された人格)』は、良い乳房と悪い乳房という単純な『部分対象(その場その場の反応)』へと分割されることになります。
人に悩みを植え付ける根源である神経症・人格障害者への考察・対処法まとめリンク
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