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境界性人格障害者の二分法思考

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6年前に作った図「神経症の二分法思考回路」
http://aikansyheiwa.blog21.fc2.com/blog-entry-45.html
二分法思考による認知の歪み
http://aikansyheiwa.blog21.fc2.com/blog-entry-46.html
の続きです。

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境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)(Borderline Personality Disorder:BPD)の場合、ひとりの人間(人格)に対して『良い部分』と『悪い部分』の両方が存在するという矛盾(曖昧さのある現実)を受け容れられないので、『現時点における相手の反応・態度・言動』だけが相手を判断するすべての基準となり、『良い部分』と『悪い部分』を統合した全体的な他者の人格・存在を認知できなくなります。

これは、精神内界に安定した他者表象を形成する『対象恒常性の欠如』という問題ともつながっています。

「対象恒常性(安定した内面の他者表象)」とは、心の内面にある『自分を支えてくれる安定した他者のイメージ』のことです。
それが欠如するということは幼児期・児童期に形成されていないということです。

この『対象恒常性(object constancy)』を形成する能力が発達していないと、”いつも自分に好意・承認・肯定を与えてくれる他者”がいないと心理的に落ち着かなくなってきます。

例えば、境界性人格障害ではない人なら、自分に愛情を注いでくれて信頼できる人(ex:家族・友人・恋人)などが目の前にいなくても、過去の記憶を元に信頼できます。
しかし、境界性人格障害の人は、過去の記憶や良い感情を、長期的に保存できません。
よって、365日24時間、常に、”今・ここの時点における承認や愛情”を求めます。これを「見捨てられ不安」と言います。
「絶対に見捨てないよ」とか「つらい時はすぐに行くよ」とか「あなたのことを大切に思っているよ」とか言う言葉を”四六時中、絶えず、常に”求めます。
自分のことを認めてくれて、好意を持ってくれて、見捨てないような直接的な言動による自己価値の保証を常に欲しています。

これが得られないと空虚感や無意味感に圧倒されて、不安の保障の為に、アル中・薬物・ギャンブルなどに依存します。

配偶者・恋人などの異性関係だと、仕事中でもお構いなく頻繁に電話・メールをして、それに短時間で返信をしないと浮気をしていると疑ったり、激しい怒りをぶちまけて暴力的になったりすることがあります。


女性に多いパーソナリティ障害(人格障害)とされていますが、実際には、『異性関係・家族関係における見捨てられ不安(執着性・暴力性)』が強い男性にも見られることもあります。


また、境界性パーソナリティ障害(BPD)は、演技性パーソナリティ障害と同じく、他者の行動や反応を無意識的にコントロールすることがありますが、特に『激しい怒りの表現・感情的な興奮と混乱・自傷行為や自殺企図』によって、周囲の人たちの愛情や関心を引き留めたり自分の要求を受け容れさせたりすることがあります。

しかし、自傷行為、自殺企図によってかえって相手との関係が悪くなってしまう問題が起こるのです。
自分をいつも大切にしてくれる、永遠に好きでいてくれるという『保証・証明』を求めすぎて、結果として、相手がその過大な要求や気まぐれな不機嫌に応えることが出来なくなって、離れてしまうということが多くなります。

自分から離れて自分を孤独にした相手には、極端なまでに攻撃的に罵倒や批難をします。
自分の自己愛や孤独不安を満たしてくれる相手は、理想化して賞賛します。

境界性人格障害にとって、全てのモノサシは「自分の自己愛・孤独不安を満たすか、満たさないか。」にあります。

これも『二分法思考(全か無か思考)』、つまり、物事や状況を完全に良いか完全に悪いかのどちらかでしか認識できない極端な思考様式から来ています。

つまり、物事を極端に善か悪に分けて考えてしまう『二分法思考の修正』が必要になるわけです。


境界性人格障害者の二分法思考
http://aikansyheiwa.blog21.fc2.com/blog-entry-47.html
境界性パーソナリティの成因と特徴
http://aikansyheiwa.blog21.fc2.com/blog-entry-49.html
境界性人格障害(ボーダー)の人への対処法と留意
http://aikansyheiwa.blog21.fc2.com/blog-entry-50.html
強迫・自己愛・境界性人格障害の二分法思考の違い
http://aikansyheiwa.blog21.fc2.com/blog-entry-51.html" target="_blank" title="http://aikansyheiwa.blog21.fc2.com/blog-entry-51.html">http://aikansyheiwa.blog21.fc2.com/blog-entry-51.html
自己愛性人格障害の成因と特徴
http://aikansyheiwa.blog21.fc2.com/blog-entry-52.html
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テーマ : メンタルヘルス
ジャンル : 心と身体



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時ニールさんありがとうございます。
関わらないといいながら…大変すいません。
個人的に会って性的関係をもつとか会って二人だけで会うとかってことではなくて…
カウンセリングは何か気持ち悪くて今は距離がほしいというか…
知識と洞察力、
勉強しますね。

かおりんは社交的ではありませんが
人のために何かできる人になりたいと思います。

また書いてみます。

>北海道かおりんさん

コメントありがとうございますm(-_-)m
時ニールです。

そうですね。
関わらないのが一番いいと思います(´・ω・`)
彼らは巧みな話術で騙してくることが多々ありますが、それを洞察できる知識と能力を得ておくことも大切だと思います。

かおりんさんは、社交的でコミュニケーションができてお友達がたくさんいるのですね。
うらやましいです(´ω`)

何事も良いことを成して、頼れるようなよい人脈を引き寄せていくことが、人生を円滑に楽しく過ごすために大切な事ですね。

人に面と向かって言うと逆に懸念されるかもしれませんが、内心で誇っていいことだと思います。

応援しております。

人格障害、パーソナリティ障害の人はわからないで周りや当事者を振り回しますよね。合わせてやらなきゃならない、
気のきいたことを言ってあげなきゃならない、
本人や家族はそれでいいんでしょうが
いい迷惑です。
私の家系や身内には人格障害の人はいませんので、関わらないことが一番だと思います。
あまりひどい攻撃を受けたら法的な手段も考えたいと思っています。
かおりんの身内は、依存型ではなく自立型ですし、自分の時間で本を読んだり、勉強したり、頭を使いスキルアップを常にできる人です。
社交的でコミュニケーション能力もあるのでたくさんのお友達がいます。
f^_^;
優しいし、人格形成がしっかりしているので、頼りきっています。
私は器が広くありませんので、
相手にしたり、お母さんになったり、
できませんがすいません。
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時ニール

心の安全が第一. Psychologist/Counselor/OPE Palliative Nurse/LPi 経営者CEO/Invest.国立大学/教育学/心理学→医学/看護学→総合病院。自己愛研究/医療統計。心理、医療職。心理/医療/経済の話題。

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