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ハムレット神経症(2) 宗教的観点からの精神分析

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ハムレット神経症 (1) 頭から離れない藤原竜也
http://aikansyheiwa.blog21.fc2.com/blog-entry-61.html
の続きです。

「ハムレット」第一幕 第二場
~ホレイシオがやってきて、ハムレットに父親(デンマーク国王)の亡霊の話をするシーン~
http://www.youtube.com/watch?v=Qxu0Nu7lZwc

この舞台の原作はこちらです↓

新訳 ハムレット (角川文庫)新訳 ハムレット (角川文庫)
(2003/05)
ウィリアム シェイクスピア

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作者のシェイクスピアが1600年~1602年の間にこの作品を書いているので、ハムレットの時代背景はちょうどのそれより少し前の、16世紀(1500年代)のデンマークです。
つまり、中世から近世・近代へと宗教改革を経て移り変わる頃のヨーロッパです。

宗教改革以前の中世のヨーロッパはキリスト教のカトリックが絶対的に支配していました。

その支配は圧倒的で、生まれて洗礼を受けなければ生まれたことにならないため人間とは認められず、死んでも終油(しゅうゆ)を受けないと死んだことにされないため埋葬もされず、教会で結婚式を挙げなければ夫婦ではなく、その他、裁判、遺言にいたるまで一生のすべてをカトリック教会に管理されていました。

ゆえに、この頃のキリスト教カトリックの僧侶たちの腐敗っぷりは凄まじく、信者(領主・農奴)には聖書さえ読ませずに「ただ自分の言うことだけを聞け」と信仰だけを行わさせ、キリスト教の奇蹟の話を自分たちの都合の良いように利用して聖書とはまるで関係のない勝手な教説を民衆に押しつけていました。

もはや本来のキリスト教ではなく、”キリスト教もどき”が、呪術的で怪しい新興宗教のような形で広まっていました。

よって民衆側は上辺だけでこの”キリスト教もどき”を行い、本心では土着の神々や悪魔や魔女などの呪術的なものを信仰していました。

この動きは、都合の良いように奇蹟を利用していたカトリック僧侶の呪術的な”キリスト教もどき”とも、どこか似通っていき、後にマックス・ウェーバーに「呪術(キリスト教もどき)からの解放こそが資本主義の発生する条件である」と批判されます。

例えば、日本においても日本仏教の総本山である比叡山の僧兵が、朝廷(天皇)もどうしようもできないほど強かった時代、この僧兵が強訴の際に押し立てたのは、法華経でも曼荼羅でもなく、日吉(ひえ)神社の神輿でした。
実はあまり知られていないことですが、日本仏教の総本山でも、本当に信仰しているのは仏様ではありません、日本古来の神様でした。 だから今も比叡山の延暦寺と、日吉大社が一緒にあります。

中世のヨーロッパもこの形に近かったのです。
そして、この中世末期から近世初期にかけて起こったのが、あの有名な「魔女狩り」です。
魔女狩りでは、呪術的なことを行う人(今で言う占い師や霊能力者)などを残酷に大虐殺しました。
これは宗教改革によって呪術的な”キリスト教もどき”が潰され、”本格的な本来のキリスト教”が徹底されたためです。
意外なことに、ルターが「こんな禁欲的なカトリックはもう嫌だ!俺はもうカトリックの抑圧から解放されたい!」と言ってキリスト教プロテスタントを生み出したことを発端とする宗教改革によって、逆にキリスト教カトリックが徹底されて強くなったのです。

一方で、ファンダメントリスト(fundamentalist)も増えていきます。

ファンダメンタリストとは、聖書に書いてあることをそのまま事実だと信じる人のことです。

重病人が瞬時に治ったり、死んだ人が生き返ったり、人間が水の上を歩いたり・・とかです。

誰しも「そんな非科学的なことは起こりえないし、何かを象徴した表現ではないのか?」と言うと思うのですが、実は今でもアメリカなどでは高名な科学者などにもファンダメンタリストがいるのです。


日本人のための宗教原論―あなたを宗教はどう助けてくれるのか日本人のための宗教原論―あなたを宗教はどう助けてくれるのか
(2000/07)
小室 直樹

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より転載開始
_______________________________________________________________________________________________


「奇蹟なんて科学的に起こりえない」と反論する人に、ファンダメンタリストは答えていう。


「自然法則なんて言ったところで、やはり神が作りたまいしものにすぎない。だから、神ならば自然法則を変更することもできれば、一時停止させることもできる。人間が水の上を歩いたとて、神が重力の法則を一時停止させたとすれば、少しもおかしくはないではないか」

ファンダメンタリストは、このように、合理的に考え抜いているのだから、反撃の手を緩めない。

「自然科学と言うが、今の自然科学の実験は、みんな不完全帰納法ではないか。今までやった実験では、ある特定の法則は成立しているけれど、実験をやらなかったところでは成立していないかも知れない。だとすれば、現代の人間が科学的常識としていない事態だってありうるではないか。」

「自然科学の法則にしても、あなた自身が実験で確かめられたわけではなく、自然科学者がいったことをあなたは信じている、これだけのことでしょう。自然科学の学説も、学問が進んで行くにつれて、それまで常識だったことが次々に否定されていっている。法則と言ったところで、要するに、今の時点では私はこの学者を信用しますということだけのことにすぎない。私は学者も信用しますが、それ以上に聖書を信じます。」

このような理論に誰が抗(あらが)えようか。


小室直樹「日本人のための宗教原論」
_______________________________________________________________________________________________
転載終わり

だから、世界の学問(science:サイエンス←決して理科系の科学と訳されるのではない)の対立構造も「理系 vs 文系」という馬鹿な分け方ではなく「神学 vs 近代学問」なのだと副島隆彦氏が述べる理由がよく分かります。

僕の他ブログでの過去日記:「神学 vs 近代学問 (理系・文系を分離させることの危うさ)」↓

理系・文系という分け方は間違っている!(1) ~神学 vs 学問~
http://rextuseferu.seesaa.net/article/142022140.html
理系・文系という分け方は間違っている!(2) ~証明が出来なければ皆殺しである~
http://rextuseferu.seesaa.net/article/142151272.html
理系・文系という分け方は間違っている!(3) ~神の啓示と自然の創造~
http://rextuseferu.seesaa.net/article/142426379.html
理系・文系という分け方は間違っている!(4) ~魔女狩りとファンダメンタリスト~
http://rextuseferu.seesaa.net/article/142849282.html
理系・文系という分け方は間違っている!(5)~自然の創造が合理主義へ~
http://rextuseferu.seesaa.net/article/142932468.html
理系・文系という分け方は間違っている!(6)~科学教という宗教は実在する~
http://rextuseferu.seesaa.net/article/142945514.html

ハムレットのこの葛藤は、キリスト教の世界観と、そういう宗教のような非科学的なものを排除しようとする自然科学との対立だと言う人がいますが、それは違うと思います。

ハムレットはキリスト教的な世界観をファンダメンタリストの如く固持しているため、亡霊に言われて人を殺すことははたして神の御心にかなうのか、という点に関して悩んでいるのです。

徹底された”本格的なキリスト教”と、亡霊などが登場する呪術的な”キリスト教もどき”の間で、自我が引き裂かれ、神経症に陥っているのです。

ましてハムレット自身「自分はヘラクレスのように立派であるべきだ」”非現実的な欲求”をしています。


人に悩みを植え付ける根源である神経症・人格障害者への考察・対処法まとめリンク
http://aikansyheiwa.blog21.fc2.com/blog-entry-243.html
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Re: 一般法則論のブログを読んでください。 

>  一般法則論のブログを読んでください。
>  原理主義者に自然科学的に反論できます。
>  
>  一般法則論者

!!!Σ(゚□゚;)
コメントありがとう御座います!
これは・・すごいですね・・
そして大変、有益な情報をありがとうございます!
僕も初めて聞いた単語だったので、一般法則論で検索してブログを熟読させて頂きたいと思います!

一般法則論のブログを読んでください。 

 一般法則論のブログを読んでください。
 原理主義者に自然科学的に反論できます。
 
 一般法則論者
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心の安全が第一. Psychologist/Counselor/OPE Palliative Nurse/LPi 経営者CEO/Invest.国立大学/教育学/心理学→医学/看護学→総合病院。自己愛研究/医療統計。心理、医療職。心理/医療/経済の話題。

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